アニメ感想 終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?

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第1話

原作既読で、なおかつ非常に好きな作品のため、期待度大。繊細な感情の動きや表現が多くあり、アニメ化は難しいと思っていたが、原作者自らが脚本として参加しているため、更に期待アップ!


そして実際に視聴した感想だが、これは名作の予感!現時点で早くも円盤購入候補!

まだ導入部分でメインストーリーには入っていないのだが、それでもそこはかとなく漂ってくる悲壮感がなんとも言えず、原作の雰囲気がよく伝わってくる。 それに冒頭のシーンは、実は原作第1シリーズ第3巻終盤のものなのだが、あれは視聴者を引き込む威力十分。ちびっ子組はやたらとかわいい!


なお、作画とキャラの声についても概ね満足だが、全体的にもうちょっと欲しいというところも。 原作の絵に比べて、どうしてもアニメっぽいというか(アニメなんだから当然なのだが)、べた塗り感が少しある。 主人公のヴィレムについては、デザイン・声ともにやや幼く感じる。ちびっ子組のパニバルは、逆にもうちょっと子供っぽい方が良かった。 まぁ、こんな不満は全体がいいからこそ出てくるものだし、これはこれでいいとも思うので、全く問題はないが。


唯一にして最大の懸念は、ストーリーが端折られないかということ。原作は全5巻(外伝を含めれば全6巻)なのだが、円盤の発売情報からすると全12話の様子。 それでいて、アニメ第1話は原作第1巻の3分の1にも満たないページ数しか消化していない。更に、最終巻はやたらとページ数が多いし、ちゃんと消化しきれるのだろうか。 アニメは14話か、せめて13話くらいかけてやって欲しかったが。

第2話

やはり放送話数の都合で端折られる部分が出てきている。ヴィレムの過去の話は原作だとメインストーリーの間にちょこちょこ挟まっていたのだが、アニメでは短時間の回想シーンが出るだけ。 この分だと、ヴィレムの師匠とかは登場しないまま終わりそうだな。

その一方で、原作にはなかったシーンの追加や、原作では1行で終わっていたシーンがそこそこ時間を割いて描かれていることも。 あと、台詞は同じだがシチュエーションやしゃべっている人物が異なるということが結構あり、時間節約の意味もあるのだろうが、これはこれで悪くない改変。ネフレンは出番増やしてもらってるな。


新登場のアイセアとネフレンの声は割といい感じ。


残りの話数とストーリーの進み具合からすると、やはり原作全5巻の消化は不可能だと思われる。 第2話が終わった時点で、原作第1巻の半ばにも達するかどうかというところだし。 ならどこまでやるかということだが、これはおそらく第3巻までだろう。第4巻以降は登場人物や時間軸が3巻までと大きく異なるし。 世界観があまり明らかにならないまま終わってしまうことになるが、第3巻まででもとりあえず完結は出来るだろう。 ただし、第3巻のラストまできっちりやると消化不良感が強いので、第2期にもつなげることが出来る形でのオリジナルエンドというのが妥当なところか。 構成と脚本に原作者が入っているし、無茶なオチにもならないだろう。もちろん、終了と同時に第2期制作発表ということなら、ぶん投げたまま終わってもらっても構わないが。

第3話

重要エピソード満載。ただし、ヴィレム関連は相変わらず端折られがち。黒燭公(イーボンキャンドル)は原作になかった生前(?)の姿が見られたのは良かったが、もうちょっとヴィレムとの会話が欲しかった。 あと、ヴィレムがセニオリスのメンテナンスをしている時に、セニオリスの状態について分析するシーンもカット。物語の核心に迫る真実への伏線が含まれていたのだが、アニメ中では関連エピソードはカットということなのだろうか。

そのセニオリスのメンテナンス、非常にきれいなシーンで描かれており、このあたりはアニメならではの良さ。ヴィレムが人間族最後の生き残りだとわかった時の、ちびっ子達の反応も可愛い。癒やされるわ〜。


さて、今回で原作第1巻のラストまで終了。無論、カットされているシーンや台詞は多いのだが、悪くないペース。でも、やっぱりあと1話くらい余分に使ってじっくりやって欲しかったな〜。

第4話

ヴィレムが壊れてる件。もう心配で心配でしょうがなかったという感じが伝わってくるな〜。原作を読んでるから展開は知ってるけど、本当に良かったと思えるシーン。 ただ、ヴィレムの夢のシーンは、原作であればアニメ第3話のラストに続けて描かれるシーンで、しかも新しい巻の冒頭だったので、「え、クトリ達は死んじゃったの!?」という焦りが演出されていたのだが、アニメではティアットを11番島に連れていく際のうたた寝での夢であり、その前に平和なシーンが挟まれているので、緊迫度合いが足りなかった気がする。


ティアット達、ちびっ子組はやはり可愛いな〜。特に今回はティアットが憧れの映画の舞台に来て目を輝かせたり、頑張って大人っぽくしようとしているのがまた可愛い。 トカゲのラブロマンスはこれっぽっちも理解できないけど(笑)。ってか、原作にまでなかったトカゲ関連の細かいシーンを追加してるし(^_^;)


いろんなシーンや会話は、やはりカットされている部分が多い。ただ、構成がしっかりしているためか、それほど違和感を覚えはしない。 ただ、ヴィレムがクトリのことを切実に心配していたというのがわかるシーンを、もう少し厚めに描いて欲しかったところではある。

第5話

ちょっと端折るところが多すぎた感じ。

獣の詳しい説明がないのは前からだったが、想定外の獣の出現から撤退命令までの説明がなく、じっくり見る時間もないので、なぜそうなったのかがわかりにくい。 最初に戦っていた獣は、倒す度に同じ姿のやつが生まれてくるので、その限界が来るまで殺し続けなくてはいけない。そして撤退直前に殺した際、元のやつ以外に別の獣が中から出てきたのだが、その辺の説明が不足している。 せめて「倒したやつの中に別のやつが潜んでいた」ということくらいははっきり説明して欲しかった。

クトリの目が赤くなったりおかしな映像が見えたりすることについては、思いっきり説明がカット。原作では戦いの最中にアイセアが気付いて対応と説明をしていたのだが、アニメではここでは触れず、後でまとめてということなのだろうか。 物語の根幹に関わることなので、説明なしで終わるということはないだろうが。

原作を読んでない人からしたら特に違和感はないかもしれないし、原作を読んでいてもこれはこういう構成なのだと思う部分もあるのだが、やはりテンポが速過ぎる。もう1〜2話かけてやって欲しかったな〜。


妖精兵になるための調整を頑張ったティアットと、ヴィレムを甘やかすネフレン(逆に非ず)はいいシーンだった。

第6話

かなり重要なエピソードなのだが、ヴィレムと対面した時のスウォンとイーボンキャンドルの反応のせいで、シリアス感が殆どなかったりして(笑)。 特にイーボンキャンドル、オンとオフの差が激しすぎるだろう!

じーさん姿のスウォンの一人称が「僕」というのは違和感があるが、これはかつてヴィレムと一緒にいた頃の口調をわざと使ってのもの。 空中庭園でのヴィレムの「ありがとな」は、この気遣いに対する答えなのだが、アニメでは細かい説明がないので、少しわかりにくいか。


18番島の戦いのシーンが再度出たので、今度こそアイセアがクトリに助言するシーンが描かれるかと思ったのだが、そんなことはなし。 そのため今回の話のラストで、アイセアが「あの子のことだから後先考えずに代償を払ってきたんだろう」と言っていた意味がわからないんだよな。 その代償が次の話で出てくるだろうし、そこでまとめて説明だろうか。

第7話

ノフトとラーントルクが登場。ノフトは自分のイメージより少し幼い感じだったが、年齢を考えたらこんなものか。

獣の正体については触れるのかね。原作でそのことを語られるのは4巻。しかし、今回の話を入れて残り6話では原作3巻分を消化するのは無理だろうし、4巻で終わったらあまりに中途半端なので、4巻を飛ばして5巻をやるのかと思っていたのだが。 伏線はちゃんと張ってあるし、回収しなかったら問題だが。

バトルシーンはちょっとイマイチかな。18番島で6番目の獣を相手にしていた時も思っていたが、獣のデザインや動きがダサいんだよな。ぶった切られた時の血しぶきも、ベタ塗りで迫力がないし。

クトリは恋する女の子が全く隠れなくなった。ヴィレムのプロポーズシーンはあるかな〜。アイセアがヴィレムのマネをする時の表情が、本物よりもイケメンだった(笑)

第8話

完全にヴィレムとクトリの甘い日常が描かれており、それだけに、合間合間に確実に入る悲劇への道が辛い…。 記憶の欠落に加え、また魔力を熾したことによる浸食の進行…。

ようやくというか、アイセアがクトリの状態を見て表情を変えるシーンが。本当に辛そうだ…。

「エラい1位技官」はなかなかいいキャラだった。クトリのことをヴィレムの愛人だと勘違いした時の表情とか、なかなかいいね(笑)。

第9話

クトリの髪が更に赤くなって、記憶もボロボロと抜け落ちていく。それでも、妖精倉庫のみんなにイニシャル入りのマフラーを編んであげているのは、必死にしがみついている感じがして悲しくなってくる。 地上へ向かう船に乗る前に、自身も先輩から譲り受けたペンダントを置いていく様子は、もういかにも二度と帰ってこれないというのを象徴している…。

前世からの浸食については、とうとうアイセアがその経験者であることを告白。 経験者であるからこそクトリの状態を正確に理解して助言してくれたのだが、自分自身が「アイセア」という人格を演じている他人であることに対しては今でも完全に割り切れているわけではないよう。 クトリから「君はアイセアでしょ」と言われて少し救われた感じなのがいいシーンであり、同時に寂しいシーンであり…。

第10話

ついにクトリの記憶を保持するためのダグウエポンを見つけ、ヴィレムはクトリにプロポーズ!もう後は揃って幸せになるだけ!あぁ、バッドエンドへまっしぐら…。


ついに獣の正体も判明し、世界観は大体出揃った感じ。ただ、なぜそのようになったのかというあたりの細かい説明をしようとすると、原作第4巻の内容が必要。 残り2話では難しいだろうし、そこはそういうものとして受け取ってくださいという構成か。

ヴィレムがノフトとラーントルクをマッサージするシーン、ラーントルクがやたらとエロかった。まさかここまでやるとは。 どうやら、原作者の仕業の様子。グッジョブ!

クトリが調査隊の連中からやたらとかわいがられていたが、行動だけでなく、見た目も含めてのことなのだろうか。 標無しはマイナスに見られることはあってもプラスに見られることはないはずなのだし、エラい1位技官は「標無しの表情はよくわからん」と言っていたが。 現実の人間でも、欧米人と日本人では互いに顔の区別がつきにくいというが、美人であることは理解できたりするし、そういう感覚なのかもしれない。

第11話

幸せいっぱいの中、それを最後まで全うすることはできず。クトリ、なんで地下について行っちゃったかなぁ…。それが運命というものなのかもしれないが。


エラい1位技官が送り込んだ追加調査隊のせいで起きてしまった獣が大量発生。ヴィレムのエロいマッサージ(違)のおかげで10や20くらい平気と言っていたノフトだが、100や200というのはちょっとね…。

ネフレンが船内で戦っている際、やけに苦戦しているように見えるが、これは後ろにいる連中を守りながらだというのと、狭い空間で機動力を生かせないのに加え、そもそもネフレンは戦闘力がそれほど高くないというのもある。 公式サイトでは、クトリがグレードS、アイセア、ノフト、ラーントルクがグレードAで、ネフレンだけグレードBとあるが、原作でもネフレンは戦闘力が高い部類でないのは語られている。

その1位技官、意外にも肩書き通り技術的には優秀だったようで、壊された呪燃炉をあり合わせの資材で直してしまった。あれであの偉そうな態度がなければいいのにと思うが、それだったらキャラが立たんか(笑)。


ところで、クトリとエルクが見ていた映像の中に、ナヴルテリがちゃっかり登場。アニメ中では名前さえ出たかどうか怪しいが、原作では4巻の重要人物。あと、クトリの浸食を防げるかもと言っていた剣の持ち主でもある。 アニメ中ではそこまで描かれないだろうが、原作を読んでいない人は是非4巻以降も読んでいただきたい。

第12話(最終話)

もう涙なしには観られない最終回。もうとっくに幸せだったんだって…。未来の幸せはいいのかよ…。


ラスト周辺の演出は原作と少しだけ変えてあったが、これはこれでいい。(直接会話しているわけではないけど)ヴィレムとクトリの掛け合いは感動と同時に切なさが…。 あの掛け合いは、ヴィレムのセリフは原作にはなく、クトリも本編のセリフではなく口絵のもの。これが非常に上手く使われていた。

ヴィレム、クトリ、ネフレンの最期についてはぼかされた感じだが、これは原作でもそう変わらない。ただし、原作では次巻へ続く前の導入エピソードが少し入っていたが。 アニメではクトリとネフレンの遺影(?)があり、ヴィレムについては大賢者が鼓動探知で生存を確認できないと言っていたが、ラストに何か反応が…?というところで終了。

アイセアが泣くシーンはちょっと過剰演出だったか?原作でも似たシーンはあったのだが、静かに涙を流すだけだったし、アイセアのキャラクター的にはそっちの方が良かったような。


さて、全体を通しても、非常に満足のいく作品だった。原作が好きだからというのも大きいが、それを抜きにしても良作。今期見ていた中では文句なしのナンバーワン。 是非第2期もやって欲しい…のだが、実際に作成するとなると難しい気も。原作のストックは十分にあるのだが、今期最終話時点で原作の3巻まで消化しており、原作第1部が5巻までなので、第1部に限れば2巻しかない。 最終巻は分厚いので、単に作成するだけならいけるかもしれないが、完全に3巻までを読んだのが前提の話であり、しかも新しい展開があるというよりは、謎についての解答編や後日談的な要素が大きいし、これだけで1クールやるとなると…。どうせやるなら、原作第2部からスタートか?

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なお、Blu-rayも全巻予約済みで、第1巻は本日届き、早速視聴。

第1話の冒頭が最終話の1シーンなので、最終話を観た直後に改めて第1話を観ると、グッとくるものがある。

オーディオコメンタリーや、おまけのショートショート詰め合わせも満足。特にショートショートは、全体的にシリアスだった本作の世界で、こんな日常もあったのかな〜と思えるホッコリしたもの(本当に日常というわけではないが)。

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